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アクセル糸偏コラム vol.1 リネン(麻) その2

category : column  posted on : 2014/09/10

「アクセル糸偏コラム」第1回目は、リネン アドヴァイザーの栗原邦子さんによる、リネンの歴史と魅力、ちょっと意識を変えた使い方など。<その1> リネンは手の届く贅沢 に続いてお話を伺いました。

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<その2> リネンで暮らしを豊かに

  リネンの原料はフラックス(亜麻)の茎。主な産地はフランス北部、アイルランド、ロシア、リトアニアなどの寒冷地です。4月に種蒔きをし、7月から8月にかけて収穫。短い夏の間に白や薄紫の可憐な花を咲かせて急成長するため、収穫後は6〜7年休耕して品質を保ちます。産業革命と貿易でブレイクした温暖地帯の繊維・コットンの歴史とは対局のよう。スローでサスティナブルな繊維として、欧州では愛され続けています。

 

 素材に関わらず、シーツやピローケース、タオル、パジャマは“ホームリネン”、テーブルクロスやナフキンは“テーブルリネン”と総称されます。ホテルのリネン室、リネンサプライなど、日本でも“リネン”はそこここで目にする言葉だったのですが、その存在はかつて高級ホテルやハイクラスの世界のものでした。

 

リネンは家庭の営みとともに

 30年前に栗原さんは単身、船で渡仏。横浜を出発した後、旧ソ連のナホトカを経て1週間の航路だったそう。その2年後にはフランス語を学ぶためにふたたびフランスへ。2年間ホームステイしました。

「当時すでに、リネン室(家事室)にはお湯の出るドラム式洗濯機があって、驚きました」

 洗濯やアイロンがけは決して楽しくないけれど、お気に入りのリネンや洋服なら苦にならない。“素敵だわ”と、ほれぼれしながら手入れをして、長く愛おしんで使う、そんな暮らしかたを目の当たりにしたと言います。

 

 また、ヨーロッパではテーブルクロスをかけることが、さぁ食事ですよ! の合図、子どもたちが食器を並べたり、お父さんがワインを出したり、家族みんなで食卓を準備。食事が終わったらクロスを外して、いつものテーブルへ戻します。

「食器の数よりテーブルクロスのほうが多い、といわれるほどヨーロッパではリネンのクロス類を豊富に揃えます」

 日本の食文化は器が主役、クロスに無頓着になりがちです。でも、

「テーブルクロスをかけたままでは、いつまでも食事中ということになってしまいます。万年テーブルクロスを止めて、食事とそうでない時と区切りをつけると、気持ちが切り替わって、ほんと、すっきりしますよ」

 少し前までは日本でもごはんが終わったらちゃぶ台を片付けて、居間にもどしたものです。生活スタイルがすっかり欧米化したいま、リネンが暮らしを豊かにするヒントになるのでは、と思います。

 栗原さんは古い漆のお盆にリネンのキッチンクロスを敷いて、和洋に使い分けています。「リネンでぼろ隠し」と笑うけれど、漆器に引けを取らないリネンの存在感に注目。すぐにでもマネしたいアイデアです。

 

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1年中活躍するリネン

 水分をすばやく吸水・発散し、通気性、熱伝導性にも優れたリネンは夏涼しく、冬は温かいという特性を持っています。また防カビ性があり、雑菌の繁殖を抑制するので臭いがつきにくい。その高機能と極上の肌触りから“最高の寝具はリネン”を称されています。

 いま体と心の声に耳を澄ませば、リネンこそ必要な贅沢かもしれません。いただきもののシーツではなく、ちょっと高価でも長年使える上質なものを選ぶ

———10年後が一番美しいといわれるリネンなら、コストパフォーマンスに大満足することでしょう。

「ヨーロッパでは古くなったシーツの端の部分を、キッチンクロスに再利用したりして、最後まで使っています」と栗原さん。

 

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手入れの方法

○リネンは繊維にペクチンを含むため汚れにくく、また汚れが落ちやすいので、洗濯時間が短くてすみます。しかも速く乾きます。

○強度は綿の2倍、丈夫なので洗濯機でジャブジャブ洗えます。ただし温度は60℃まで。ペクチンは熱に弱いため、なるべく熱湯は避けましょう。

洗濯後は形を整え、シワを伸ばして干します。生乾きのときにアイロンをかければ、てれんとした独得の風合いに仕上がります。また、本物ならではのシワを楽しむのも一興です。

○染みがついたら、すぐ洗うこと。

「乾くと落ちにくくなるのでフランスでは、お客様の車が見えなくなったら急いで洗う! という諺があるほど。とにかくすぐに洗えば大丈夫です」

 ちょっとやっかいな汚れは、

・醤油やソース:石鹸水に20~30分程度浸し、汚れた部分をモミ洗い。

・紅茶・コーヒー:熱湯をかけ洗います。

・ワインやフルーツ:塩とレモン汁でもみ洗いし、熱湯をかけます。

 

センスを磨くために

「リネンと暮らすゆとり、ほんものの豊かさを目指したいですね」

と栗原さん。

 そのためにはセンスのあるコーディネーターやショップなど、上質なものへと導いてくれる環境が必要です。アクセルジャパンでは栗原さんの提案を取り入れて、皆さまへご紹介していきます。

 どうぞご期待ください。